2019
03/23
ボランティア参加者の声
毎朝、事務局へ向かうために9時前に家を出るのですが、この日に限って出勤(?)途中で何人もの中学生を見かけました。「そうか、今日は卒業式だったな。」と、自分が住む街の予定を思い出しました。事務局に着くとそんなことも忘れて、慌ただしく配送する食品を積み込み飛び出します。それからパンの引き取りを済ませたお昼前。車を走らせていると、にこやかにしゃべりながら歩いていく中学生の3人連れを見かけました。卒業式帰りなのか3人がそれぞれ手に小さな花束を持っていたのを見て、「式はきっと感動的なものだったに違いない。」と、自分は関係もないのにうれしくなったり、妙にありがたい気持ちになったり。
転じて、先日こんなことがありました。配送が終わって事務局にいる時、スタッフが飛び込みの電話を受けていました。何でもその方はシングルマザーで、「非常に経済的に厳しい状況なので、食品の支援を受けられないか。」という問い合わせでした。スタッフは、特別な場合を除いて個人との直接の取り引きはできないというフードバンク活動のルールがあることと、大阪府下では居住地市町村の福祉関係の窓口を通してなら支援が可能であることなどを丁寧に説明していました。翌日、その女性が居住されている市の福祉の窓口から電話がありました。「昨日、(シングルマザーの女性から)電話がありましたよね。その方の家庭は生活保護を受けています。この間支給されたばかりなので、現金もまだまだお持ちのはずです。だから食品支援の必要はありません。」との内容で、その連絡を受けたスタッフも思わずせつない気持ちを独り言ちていました。
住民の生活を保障することは行政の責務であり、生活保護で支給される金額が実際の生活に対応できていない金額なのであれば、その実態調査・適正金額の見直しなどは、行政のやるべき仕事です。窓口の説明によると、生活保護を受けていてもなお生活が厳しい家庭が支援を求めこれにふーどばんくOSAKAが応えると、届けた食品を「収入」として扱い、推定金額を生活保護費から差し引くということもあり得るのが現在の行政の対応だとのこと。(厚生労働省 2019年の生活保護実施要領 では「生活保護世帯に対する子ども食堂からの食事提供やフードバンクから食料の提供は、原則収入認定しなくてよい」とはっきりと示されていますがまだまだ、現場において理解されていないのが現状です。)
最近は、小学校の卒業式に臨む子どもたちの服装が過美になっており不公平感が高まるとして、保護者や学校に「自粛」を呼びかける市町村教育委員会が出てきている一方で、卒業式のためのレンタル袴などは半年以上も前から予約をしないと好きなデザインを選べないという業界の話題も流れてきます。しかしテレビなどでは、相変わらず「子どもの貧困」が改善されていないというニュースが伝えられるなど、現実との「ギャップ」は、簡単には埋まりそうもありません。
3月は、卒業や移動・転勤など、生活に変化が起きる時期です。子どもたちはもちろんのことですが、どの人にとっても新しい、そして豊かな未来になることを願いながら、笑いさざめきながら歩く中学生の横を通り抜け、次の配送先へと車を走らせました。