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インフォメーション

2013

10/23

理事長コラム③

お知らせ

セカンドハーベストジャパン主催 第6回フードバンクシンポジウム                                             テーマ 「日本のフードバンクの多様性」 に参加して 

「日本のフードバンク活動の多様性」というテーマでシンポジウムが東京で開催された。大阪でフードバンク活動をスタートさせて7ヶ月、ハイハイからよちよち歩きに一歩ずつ歩みを進めてきたふーどばんくOSAKAではあるが、これからさらなる発展を求めて全国の仲間の取り組みに学ぼうという発想で会議に参加した。

わたしが発見したシンポジウムのコンセプトは、「なにも決めない」というところにあると理解した。持ち時間20分のプレゼンを8名~10名が自らの活動紹介と課題を一気に報告するという趣向だ。正直、”つらい””きつい”という感想ではあるが、報告される方全員がパソコンを駆使し、パワーポイントを有効に使ってのシンポであり、わが陣営の集会では考えられないほどの「これでもか、これでもか」と詰め込まれた長時間集会という印象を持った。感想はひと言「じぇじぇじぇ」に尽きる。

「なにも決めない」は、それこそ多様である。社会福祉協議会の活動を通じてフードバンクという取り組みを知り、それこそ生活困窮者の支援に結びつけ、福祉施設や団体への”食”の提供ではなく、個人のひとへの支援のみに徹している市民団体もあれば、逆に一切の行政的な支援を受けることなく、福祉施設や団体に”食”を提供しているNPOもあったりして、「フードバンク」という名称は同じでも活動の中身そのものは実に多様であり、様々であることが伺える。

その中でも共通したテーマは、生活困窮者が増え続けているという現実に、手をこまねいていてはいけないという共通項だ。「とにかく明日食べるものがない」「昨日、リストラで首(解雇)となり、明日からどうして生活して良いかわからない」といった切実な問題に、「とにかく3日間の食料を」提供しようというのが、フードバンク活動だ。そのあいだをつないでいるのが、各地の社会福祉協議会であったり、地域生活包括支援センターであったりしている。

フードバンク活動の今後のキーワードが、「食から生活全般の支援に」という視点に移りつつあるとわたしは理解した。どう地域と行政、民間という力をネットワークさせて、「まずはおなかをいっぱいにしてから、仕事のこと、住むところ、生活全般をどうするかを考えよう」という、それこそ”たったひとりに現れた生活困窮という現実”に対して、みんなで包括的に応援、支援を繰り広げていこうという志(こころざし)だ。

それを「フードライフライン」と「フードセーフティーネット」という考え方で構築をめざそうというのだ。電気・ガス・水道のようなインフラのライフラインと同様に、食べるという行為そのものが、フート?ライフラインであり、日本にも毎日の食事に困ったら無料で取りに行ける場所や、緊急時にすく?に食料を確保て?きる仕組み(フードセーフティネット)を構築していくことを求めようという試みをスタートさせようという提案でもあった。

“いのち”を縦軸に据えて、横軸に”食(食べる)”を位置する。そうすると”持続可能な社会”を維持し続けるためには、決して政府だけで完結するというものではなく、企業や消費者、投資家、労働者、NPOなど、社会のさまざまな立場にある組織や個人が、参加できるような仕組みが必要であり、それを”ステークホルダー”と読んでおり、社会的に排除された人達への生きなおしを支援し、社会に再チャレンジできるよう包括的に応援しようという市民活動を言うそうである。

そして、多種多様なステークホルダーが対等な立場で参加し、協働して課題解決にあたる合意形成の枠組みを、”マルチステークホルダー”と呼ぶ。持続可能な発展を支える新しいモデルが、「フードバンク」というひとつの市民活動から大きく飛躍し、発展を遂げようという成長過程を体験したシンポであった。